【為替】2025年の米ドル/円を予想する | 吉田恒の為替デイリー
以上のように見ると、2025年に米ドル安・円高トレンドが展開した場合でも、それがどこまで進むかは「予想以上に強い米景気」の行方が鍵になるだろう。これを日米10年債利回り差で考えると、金利差米ドル優位が3%を大きく下回るかが目安だろう。そして、そのためには、米10年債利回りが3.5%を割れて低下することが必要になりそうだ。
裏切り続ける円、25年こそ反発とストラテジスト予想-金利差縮小
これを受けて米金利の低下が限られ、例えば日米の長期金利、10年債利回り差米ドル優位は3%を大きく下回るところとならず、そうした中で米ドル安・円高への戻りも限られたということだろう(図表5参照)。さらに2024年は、絶対的に大幅な金利差円劣位に便乗した投機的な円売りが急増し、金利差変化からかい離した一段の米ドル高・円安が起こった。
2022年以降、FRB(米連邦準備制度理事会)は約40年ぶりの本格的なインフレへの対策として、大幅な利上げを行った。その影響で米景気がどこまで減速するかが、2023年以降の大きなテーマの1つとなったが、結果的には米景気の回復が続いた。
円高見通しが2年連続で外れる公算が大きい為替市場では、3度目の正直が2025年にはやってくるとストラテジストらはみている。
米ドル/円は2022年に150円を超えるまで上昇した後、2023年1月にかけて130円割れまで反落したものの、その後は下落が限られる中、この2024年にかけて上昇トレンドが続いてきた。その最大の要因は、予想以上に強い米景気が続いたことだろう。
次は、2025年に米ドル/円の下落トレンドが続いた場合の下値の目途について考えてみる。この場合に鍵になるのは、「強すぎる米景気」の行方ではないか。
ドル円相場、プロの予想割れる 2025年は138円から160円まで
トランプ政権再来による日本経済への影響は、為替変動を通じて企業活動から個人の生活まで広範に及ぶだろう。AIの分析が示す基本シナリオでは、2025年から2029年にかけて段階的な円安ドル高が進行することが予測されているが、この変動は日本経済に大きな影響を及ぼす。これらの影響を企業、個人生活、その他の側面から整理すると以下の図表5のようになる。
2025年に米ドル安・円高トレンドが展開したとして、それが130円割れに向かうか、それとも135円すら割れない程度にとどまるかは、「強すぎる米景気」が続くか、その上で米10年債利回りの3.5%割れの有無が目安になると考えている(図表6参照)。今の時点で、2023年以降予想外だった「強すぎる米景気」の終了の確信には至らないので、米ドル/円の2025年の下値は135円程度と予想する。
2025年の為替相場展望 | 今週の為替相場予想(テクニカル分析)
現在の米ドル/円は、名目水準も5年MAとの関係でも、トランプ政権1期目よりかなり高い水準にある。その意味では、政権1期目ですらなかった米ドル高・円安が起こる可能性は、今回もやはり低いのではないか。
【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
【尾河眞樹氏・トランプ2.0と2025年の為替相場】SFGI ..
トランプ政権1期目で米ドル高・円安とならなかったのは、政権開始後はしばらく米金利低下局面が続いたこと、そしてその後、大型減税の議会成立を受けて米金利が上昇すると、今度はそれに耐えられず株価が急落と、トランプ氏の経済政策は必ずしも米金利や米国株を通じて米ドル高をもたらすことにならなかったためだ。
2025年のFX市場の見通しは? ユーロに弱さ 円高急進の可能性も
第三に、想定外シナリオについては、AIが極端な市場変動の可能性を示唆している点が注目される。特に円高・超円安の両極端なシナリオを提示したのは、現在の国際金融市場が抱える構造的な脆弱性をAIが認識しているためだろう。
ドル円 160円突破!AIは今後のドル円相場をどう予測するのか
以上を踏まえると、AIによる為替予測は有用な分析ツールとして一定程度活用できるものの、予測精度にはいまだ問題を抱えるといえる。そのため、人間の判断や経験則と組み合わせて活用する必要があることに変わりはない。今後は、AIの予測精度向上とともに、より多角的な分析アプローチの開発が期待される。
ドル円は 152 円手前まで上昇。1 月 1 日に発生した能登半島地震の影響で、日銀が復興支援のため
2017~2020年のトランプ政権1期目では、基本的な経済政策は今回と変わらなかったものの、米ドル高・円安とはならなかった。トランプ氏が2016年11月の大統領選挙で勝利すると米ドル/円は急騰し、「トランプ・ラリー」と呼ばれたが、ここで記録した118円という高値は、結局その後のトランプ政権の4年間で更新することはなかった(図表3参照)。では、それはなぜだったのか。
日本経済総予測2025:為替の専門家に聞くドル・円相場の見通し
2025年、この奇しくも戦後80年の節目の年に、日本と世界が新時代に突入する――。ダイヤモンド編集部の総力と国内外の超一流の専門家たちの英知を結集させる、超人気企画が「総予測」だ。経済や景気、企業のみならず、トランプ・リスクに揺れる国際関係に政局、社会、スポーツまであらゆる分野を完全網羅し、今までの常識が通用しない時代に打ち勝つ「答え」をお届けする。
2025年の「ドル円相場」見通し【解説:三井住友DSアセット ..
2025年、この奇しくも戦後80年の節目の年に、日本と世界が新時代に突入する――。ダイヤモンド編集部の総力と国内外の超一流の専門家たちの英知を結集させる、超人気企画が「総予測」だ。経済や景気、企業のみならず、トランプ・リスクに揺れる国際関係に政局、社会、スポーツまであらゆる分野を完全網羅し、今までの常識が通用しない時代に打ち勝つ「答え」をお届けする。
マーケット予想 円売り優勢で再び1ドル=160円視野に 唐鎌大輔
ただ気になるのが、2025年から始まる米トランプ政権の影響だろう。トランプ氏の経済政策は、大型減税や関税引き上げなど金利上昇をもたらす可能性が高いと見られている。米金利が上昇するにもかかわらず、2025年は継続的に米ドル/円が下落へ向かうことになるだろうか。
お話すること○米国マクロ○米国株:AI先導○米国株:景気・バリュー・中小型 曇天○米金利:上下両リスクでも…○ドル円:上下両リスクでも…
このようなプライス・パターンは、経験的には米ドル高・円安トレンドが7月の161円で終了し、複数年続く米ドル安・円高トレンドに転換した可能性が高いことを示唆している。そうであれば、2025年の米ドル/円は、基本的には上がっても52週MA(11月末時点で150.5円)を大きく越えられず、一段の下落に向かう可能性が高いと考えられる。
FXに長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケットを予想する番組「外為マーケットビュー」。
2024年の米ドル/円の値動きに52週MA(移動平均線)を重ねて見ると、9月にかけて139円まで急落したところで、52週MAを大きく、長く割れるところとなった。その後11月の米大統領選挙にかけて52週MAを上回ったものの、これまでのところ1ヶ月半程度で再び52週MA以下に戻る動きとなっている(図表2参照)。
【2025年のFX予想】米ドル/円は145~165円程度のレ ンジの中で
2024年の米ドル/円は過去2年の高値を大きく更新、7月に161円まで上昇したが、その後は9月にかけて139円まで急落した。最大値幅は、139~161円と20円余りだが、1月から7月にかけて140→161円、そして7月から9月にかけて161→139円と20円程度の値幅を往復したわけで、累計すると40円を越えるレンジにおける大荒れの展開になったと言ってよいのではないか(図表1参照)。
【2025年S&P500予想】来年の米国株はどうなる?9つのビックリ予想
2025年、この奇しくも戦後80年の節目の年に、日本と世界が新時代に突入する――。ダイヤモンド編集部の総力と国内外の超一流の専門家たちの英知を結集させる、超人気企画が「総予測」だ。経済や景気、企業のみならず、トランプ・リスクに揺れる国際関係に政局、社会、スポーツまであらゆる分野を完全網羅し、今までの常識が通用しない時代に打ち勝つ「答え」をお届けする。
ただ、米国株が上昇するなかでリスクオンの円安が強まったため、米
本分析では、AIを活用してトランプ政権下での為替予測を試みたが、以下のような示唆が得られた。第一に、AIは過去のデータや現状分析にもとづいて論理的な予測を提示できる一方で、為替市場特有の「センチメント」や「期待」といった定性的要因の織り込みには限界がある。これはLLMが基本的に過去のデータのパターンにもとづいて予測を行うため、予期せぬ出来事や市場心理の急激な変化への対応が難しいことに起因する。また、学習データにバイアスが含まれている場合、予測結果にもバイアスが生じる可能性があるため、結果の解釈には注意が必要である。特に、トランプ氏の予期せぬ発言や政策変更による市場心理への影響は、AIモデルでは予測が困難である。
ドル安 ドル高・円安に/日銀利上げや介入、FRB利下げ ..
ユーロ/米ドルでは米ドル/円同様に米国FRBと欧州ECBの金融政策の動向の影響が大きく、FRBが2025年に0.5%の利下げ見通しに対してECBは1%の利下げを行うと見られています。つまり金利差的にはユーロ安・米ドル高の傾向が続きやすい地合いです。さらに、欧州と米国の比較では欧州の景気が弱く、主要国であるドイツとフランスの政局もユーロにとって悪材料ですし、ロシアとウクライナの戦争も地政学的リスクとしてユーロ売りの材料となります。ファンダメンタルズ面ではユーロを買う材料は見当たりません。
2025年のFX市場は米国経済の底堅さがドル高基調につながりそうだ。ユーロや豪ドルは弱含む可能性がある一方、円には円高急進の可能性もある。
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。