ウクライナ支援に世銀約834億円-日本が1億ドル、欧州諸国も協力


もちろん、「ロシアを勝たせない」「ロシアを負かす」「ウクライナを勝たせる」「ウクライナを負けさせない」にはそれぞれ異なる意味があり、例えば政治指導者がどれを選択して発信するかは重要な問題である。それでも、結果の影響が大きいがゆえに、最も避けるべきがロシアの「勝利」であることは否定できず、それを避けることがウクライナ支援の重要な目的になっている。


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さらに先を考えてみよう。問われるのは、ウクライナが敗北しロシアが「勝利」した後の世界がどうなってしまうかという問題だ。唐突に聞こえるかもしれないが、米欧諸国の「支援疲れ」が指摘されるなかで、支援が先細ればウクライナが危機的な状況に陥ることへの懸念はリアルである。

また、内政上の対立によって米国のウクライナ支援が停滞するなかで、他国の役割が拡大するという側面もある。これまでの国際秩序を支えようとする米国の意思と能力が減退しているとすれば、それを可能な限り支えることは日本の国益でもある。米国が内向きになっても、それは日本が内向きになってよいことの理由にはならないのである。

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これは日本にとっては、インド太平洋の安全保障問題への地域外の諸国の関心を高めるとの狙いをもった議論でもある。加えて、ロシアによるウクライナ侵略に象徴されるような力による現状変更には強い姿勢で対処するという姿勢をみせることでもある。口では強い言葉を発しても、結局は何もできない国だと認識されてしまっては、日本自身による抑止力の信頼性も損なわれかねない。

プーチン大統領らロシア政府関係者の資産凍結などの追加制裁も発表。ウクライナに対し、新たに1億ドル(約115億円)の緊急人道支援を行う方針も示した。首相は、ロシアによるウクライナ侵攻について「暴挙には高い代償を伴うことを示す」と強調し、「ロシアの侵略により、関係をこれまで通りにしていくことはもはやできない」と述べた。

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冒頭でも述べたように岸田首相は、「今日のウクライナは明日の東アジア」かもしれないと繰り返し、2022年12月に決定された国家安全保障戦略は、「ロシアによるウクライナ侵略により、国際秩序を形作るルールの根幹がいとも簡単に破られた。同様の深刻な事態が、将来、インド 太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて発生する可能性は排除されない」との懸念を示した[]。欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、それゆえに日本はウクライナにおける戦争に無関心ではいられないとの論理である。

加えて、資源に恵まれず食糧も足りない日本は、一国のみでは生存できない国である。国際社会との関係、そして安定的な地域秩序、国際秩序があってはじめて平和と繁栄を享受できることを忘れてはならない。対外支援は支援を供与する相手国のためであると同時に、日本の平和と繁栄のための投資や保険でもある。

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首相はこれに先立ち、欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長とも電話会談し、緊張緩和に向けて緊密に連携していくことで一致した。同委員長は、日本が欧州に液化天然ガス(LNG)を融通する方針を決めたことに謝意を示した。

その前提となるのは、(超大国ではなくても一定程度以上の)大国としての日本は、何か一つのことしかできない国家ではないとの認識である。能登半島地震が起きても、日本政府の課題が被災地域の復興のみになるわけではない。さまざまなことを同時並行でおこなわなければならないのである。


ウクライナの人々に対する日本政府の1億ドルの追加的緊急人道支援決定を受け、ジャパン・プラットフォームは総額40億円規模の緊急人道支援を策定

全体像が分かりにくい背景には、ウクライナおよび国際社会に対しては大きな額を提示することに政治的意味があっても、国内でウクライナ支援への風当たりが強くなるなかで、額を強調したくないという事情も、たとえ無意識ではあっても存在するかもしれない。

日本とウクライナの二国間支援としては、ゼレンスキー大統領との首脳電話会談(2月

首相は会談で、「ウクライナの主権と領土の一体性を支持しており、力による一方的な現状変更は断じて認められない」と述べた。少なくとも1億ドル(約115億円)規模の借款による支援を行う意向も伝えた。

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日本のウクライナ支援にはこうした特徴はあるものの、政府の発表をつなぎ合わせても、支援の総額を含め、日本の支援の全体像が捉えにくい。例えば、首相や外相、財務相などがG7会合や会見などの場でコミットする総額が、実施段階において何に該当するのかが分かりにくいのである。国内向けの発信方法にはさらなる工夫が求められる。

ウクライナ「韓国が1億ドルの借款提供」…兵器支援慎重論強まるか

実際、ウクライナ側の期待も、日本に対してはミサイルよりも復興支援に焦点があるといえる。もちろん本音としてはミサイルなどの武器への期待もあるが、現実的な対応をしてきている。2024年2月19日に東京で開催予定のウクライナ復興促進支援会議に向けては、官民一体となった支援が強調されている。民間企業の参入は、ウクライナの今後の復興を考えれば極めて重要な要素であり、日本への期待が高いのは驚きではない。同会議の場では個別企業とウクライナ政府との間で多くの覚書が署名される予定で、インフラ整備やサイバー、農業などでの参入が中心になると報じられている[]。いわゆる途上国支援とは異なるのである。

支援として1億ドルの緊急人道支援を行ってまいります。 今回のロシア ..

日本は、自衛隊の非殺傷性の装備・備品の供与以外にも、NATOの信託基金を通じたドローン探知のための装備の提供など、軍事と整理可能な支援もおこなっており、これは日本にとっては新しい試みとして注目される。日NATO協力としての意義も大きい。しかし、日本の支援のほとんどは財政支援を中心とする民生分野であり、規模の小さな軍事面の支援を無理にアピールする必要はないだろう。かえって、日本の支援の大きさかみえにくくなる懸念すらある。

MIGAと日本 ウクライナ支援で連携 | World Bank Group Guarantees

また、軍事・安全保障面で日本が果たしえる役割には構造的限界がある点も指摘しておく必要がある。というのも、ウクライナの戦略的目標はNATO(北大西洋条約機構)加盟だからである。そのプロセスの一環としてウクライナ軍はNATO加盟国軍との完全な相互運用性の確立を目指している。また、今回の戦闘が何らかの形で終結した後にウクライナの安全をいかに確保するかという「安全の保証(security guarantee)」問題においても日本の役割は限定的にならざるをえない。これも、最終的にはNATO加盟とリンクしているからである[]。

7カ国(G7)は28日、ロシアの凍結資産を活用した総額500億ドル(約7兆6500億円)のウクライナ支援 ..

こうした日本の支援の内訳は、武器供与を中心とする米国の支援とは大きく異なる。激しい戦闘が続くなかで、武器供与が死活的に重要であることは論を待たない。そのため、殺傷兵器の供与ができない日本の支援が、多くの武器供与をおこなう米欧主要国の支援に見劣りする部分があることは否めない。殺傷兵器のウクライナへの供与を可能にすべきとの、自民党の一部を含めた日本国内の議論にはそうした背景もある。他方、財政支援の価値を過小評価すべきではない。武器弾薬がなければ戦えないが、国内経済や政府財政が破綻しても戦えないからである。

今回の追加支援は、日本政府が 3 月 11 日に決定した 1 億ドルの緊急人道支援に加え、3 月 24 日に岸田総理

まずは日本政府によるこれまでのウクライナ支援を概観しよう。過去2年間の総額は121億ドル(約1兆7,000億円)にのぼり、多くは財政支援である。そのなかでも、例えば世界銀行への信用補完を通じた財政支援融資が50億ドルを占めるなど融資の比率が高く、いわゆる「真水」部分――無償資金ないし贈与にあたる部分――は、計20億ドルの人道支援(令和4年度、5年度補正予算)など一部にとどまる[]。上記世銀への信用補完に加え、ポーランドの政府系金融機関が発行するサムライ債への保証(930億円)など、新たな形での財政支援も特徴だといえる。

支援として1億ドルの緊急人道支援を行ってまいります。今回のロシア ..

そこで以下では、ウクライナ支援の意味を改めて検証し、反発が強まるなかにあってもなぜウクライナ支援が日本にとって依然として必要なのかを考えることにしたい。ウクライナ支援は、いわれのない侵略を受けるウクライナの人々への支援である。しかしその先には、ロシアの「勝利」とみられる状況になることを避けるという目的が存在している。支援が減少すれば、ロシアの「勝利」が現実の問題になってしまうのである。

政府は5日朝の閣議で、ウクライナと周辺国に行う1億ドルの追加の緊急人道支援について正式に決定しました。

しかし日本においても、ウクライナ支援より国内問題への対応を優先すべきとの声は当然大きい。ウクライナ支援を含めて岸田政権の政策への反発は、内閣支持率の低下と反比例して大きくなるし、2024年元旦の能登半島地震への対応の必要性も重なり、ウクライナ支援継続への風当たりは強くなっている。

[PDF] 日本はウクライナと共にあります 政府の対ロ制裁措置を決定

日本では岸田文雄政権が、特にG7の枠組みにおいて米欧諸国と足並みを揃え、「今日のウクライナは明日の東アジア」[]かもしれないとの認識のもと、世界のどこであっても力による現状変更は認められないとの立場を明確にし、大規模な対ウクライナ支援と厳しい対ロシア制裁を続けてきた。

令和4年4月5日(火)午前 | 官房長官記者会見 | 首相官邸ホームページ

さらに、ウクライナへの武器支援を主導してきた米国では、共和党と民主党の対立により、バイデン政権が提案したウクライナ支援の予算を連邦議会が承認できない状況が続いている。EU(欧州連合)においても、ウクライナ支援パッケージへの合意がハンガリーの反対により難航した。「支援疲れ」が深刻化しているとの指摘も多い[]。

米政府、ウクライナ支援に200億ドルを供与 ロシアの凍結資産 ..

世銀の7日の発表によると、補完融資と保証、無償資金(贈与)、並行融資で構成し、ウクライナ政府が病院職員の賃金や高齢者の年金、弱者のための社会プログラムを賄い、重要な公共サービスを提供する費用に充てる。