この「ダンジョン飯」には数多くのトールマンが登場しています。
この『ファンタズムⅤ ザ・ファイナル』を最後に、トールマン役のアンガス・スクリムが急逝。正真正銘のファイナルとなった。振り返れば、アンガスはコスカレリ監督のデビュー作『誰よりも素敵なジム』(ロリー・ガイ名義で出演)以来の付き合い。レジー役のレジナルド・バニスターもそうだ。マイク役のマイケル・ボールドウィンは『ボーイズ・ボーイズ/ケニーと仲間たち』からの常連。ジョディ役のビル・ソーンベリーだけは『ファンタズム』1作目が初参加だったが、それでもなお40年近く付き合ってきたことになる。『ファンタズム』シリーズはドン・コスカレル監督のみならず、その仲間たちにとってもライフワークだった。その時を超えた恐怖と冒険と感動を、ザ・シネマの全シリーズ連日放送で味わえるのは誠に贅沢だと言えよう。◼︎
トールマンは手足が長いこと以外、これといって突出したものがありません。
病床に臥したレジーをマイクとジョディが囲むシーンはまさに胸アツ。1作目と同じキャストが演じているからこその、人生と時間の重みをまざまざと感じさせる。ここまで来ると熱心なファン以外は完全に置いてけぼりなのだが、もちろんそれで全く構わない。むしろこの感動を味わえるのは、1作目から熱心に追いかけてきたファンのみに許された特権であり、そういう自己完結したガラパゴス的な映画があってもいいと思うのだ。
相変わらずトールマンを倒してマイクを救うための旅を続けていたレジー。しかし、ハッと目を覚ますとそこは病院で、自分が痴呆症と診断されて入院していることをマイクに告げられる。トールマンとの戦いも何もかも、彼がマイクに語って聞かせた妄想だという。しかし再び目を閉じると、トールマンによって崩壊した世界の真っただ中で、レジーはマイクと共に武器を手にして戦っている。どれが夢でどれが現実なのか全くわからない。その混沌を通して、限りある人間の生命と肉体の儚さ、それでもなお前へ進むことを諦めない精神の不滅が描かれるのだ。
ここにはの種族を特別視しない考え方が表れている気がしますね。
そして、それから18年の歳月が経ち、老境にさしかかったコスカレリ監督が自らの「死生観」を投影した作品が『ファンタズムⅤ ザ・ファイナル』(’15)である。ここで彼は初めてレジー(レジー・バニスター)を単独の主人公に据える。もちろんマイク(マイケル・ボールドウィン)やジョディ(ビル・ソーンベリー)、トールマン(アンガス・スクリム)も登場するし、1作目のラヴェンダーの女(キャシー・レスターの美魔女ぶりに驚嘆!)や3作目のロッキー(グロリア・リン・ヘンリー)も再登板。しかし、物語はあくまでも年老いたレジーの視点から語られていく。
かつて13歳の美少年だったマイクもすっかり大人。レジーやジョディに至っては立派な中年だ。みんなもはや決して若くはない。静かに忍び寄る老いを前にした彼らの後悔と不安、そして来るべき苦難の道など想像もしなかった平和な過去へのノスタルジーが、トールマンとの終わりなき戦いの日々を通して描かれていく。30年前の幼きマイクと若きレジーの、まるで波乱の未来を予感したような複雑な表情で幕を閉じるクライマックスは、1作目から追いかけてきたファンならば涙なしに見ることは出来ないだろう。これは、『ファンタズム』と共に大人へと成長してきた大勢のファンへ対する、コスカレリ監督からの真心のこもったラブレターである。
切人 على X: 人間(トールマン)とドワーフは絶対に揺るがないが
しかしながら、真の意味で『ファンタズム』の原点に戻ったのは、次の『ファンタズムⅣ』(’98)である。トールマン(アンガス・スクリム)にさらわれたマイク(マイケル・ボールドウィン)を救うべく、レジー(レジー・バニスター)とスフィア化した兄ジョディ(ビル・ソーンベリー)が行方を追うわけだが、ここでは第1作目の未公開フィルムをフラッシュバクとして効果的に多用することで、失われた時間や過ぎ去った思い出に対する深い郷愁と万感の想いが浮き彫りにされていく。さらに、かつては善人だったトールマンの意外な過去を描くことで、必ずしも思い通りにはならない人生や運命の悲哀が強調されるのだ。
過去作で散りばめられた謎の真相を本作で明かすことを試みたというコスカレリ監督。その言葉通り、トールマンの目的やドワーフたちの正体、シルバー・スフィアの仕組みなどが解明され、いわば「ファンタズム・ワールド」の全体像がおぼろげながらも見えてくる。といっても、みなまでを詳細に語らず観客に想像の余地を残すところはコスカレリ監督ならではと言えよう。夢と現実の交錯するシュールな語り口も、原点回帰を如実に実感させて嬉しい。
ファンタジー世界の異種族は人間の上位互換ばかりなのに、なぜ何の取柄もない人間が世界の中心でいられるのだろうか?
続く『ファンタズムⅢ』(’94)でもそのエンタメ路線は引き継がれるが、製作元がメジャーからインディペンデントへと戻ったこともあり、コスカレリ監督の好きなように作られているという印象だ。なによりも、マイク役に1作目のマイケル・ボールドウィンが復活したこと、ビル・ソーンベリー演じる兄ジョディも再登板したことの効果は大きい。本作からシリーズ随一の愛されキャラ、レジー(レジー・バニスター)が実質的な主人公となり、旅の途中で出会った女戦士ロッキー(グロリア・リン・ヘンリー)や「ホームアローン」少年ティム、そして今やシルバー・スフィアと化したジョディがタッグを組み、トールマン(アンガス・スクリム)に狙われるマイクを救おうとする。
まあ、確かに続編とはいえ半ば別物のような作品だが、しかしここではヒロイック・ファンタジー『ミラクルマスター/七つの大冒険』(’82)でも披露した、コスカレリ監督の娯楽映画職人としての実力が遺憾なく発揮されている。もちろん賛否はあるだろう。ユニバーサルの要求で、マイク役を当時売り出し中の若手イケメン俳優ジェームズ・レグロスに変更させられたことも残念だ。それ以外にもスタジオからの横やりは多く、コスカレリ監督としては少なからず不満も残ったという。しかしそれでもなお、シリーズ中では最も単純明快なB級ホラー映画として十分に楽しめる。
カルトクラシックス【ファンタズム/トールマン】未開封 - SF・ファンタジー・ホラー.
誰もが少なからず身に覚えのある、成長期の漠然とした不安や恐怖を想起させる。それこそが、どちらかというと難解な内容でありながらも、多くのファンが『ファンタズム』に魅了される最大の理由であろう。しかし、その後の続編はちょっとばかり違った方向へと舵を切る。
ファンタジーを目指しました。 ファンタジー小説大賞エントリー作品です ..
そのうえで本作は、ストーリーなきストーリーに主人公マイクの揺れ動く複雑な心情を投影する。愛する両親を一度に失い、唯一の肉親である兄ジョディもまた、町を出てひとり立ちしようとしている。思春期の多感な少年が人生で初めて直面する喪失感、このまま一人ぼっちになってしまうのではないかという不安感、そしてまだ子供であるがゆえの無力感。それらをひとまとめにした象徴が、得体の知れない悪魔トールマンなのである。
あの世界のトールマン以外を作った疑惑があるから蔑ろにできないのよね… ..
『ボーイズ・ボーイズ/ケニーと仲間たち』と同じく10代前半の少年の目を通して世界を見つめる本作では、『誰よりも素敵なジム』の大学生ジムが父親の虐待から幼い弟ケリーを守ろうとしたように、ミュージシャン志望の若者ジョディが邪悪な大人トールマンの魔手から年の離れた弟マイクを守ろうとする。ジョディとマイクは両親を交通事故で失ったばかりだが、両親からネグレクトされたジムとケリーもまた親がいないも同然の孤独な兄弟だった。ある意味、『誰よりも素敵なジム』と『ボーイズ・ボーイズ~』、そしてこの『ファンタズム』は、精神的な部分で連なる三部作の様相を呈しているとも考えられるだろう。
Delicious in Dungeon ダンジョン飯&天官賜福
続いて、12歳の少年たちの平凡だがキラキラとした日常を鮮やかに切り取った青春映画の佳作『ボーイズ・ボーイズ/ケニーと仲間たち』(’76)を20世紀フォックスの配給で発表したコスカレリ監督は、少年時代から大好きだったというホラー映画の製作に着手する。前2作が高い評価のわりに興行成績が奮わず、ホラー映画ならば当たりが狙えるという目算もあったという。それが父親や知人からの借金で自主制作した低予算映画『ファンタズム』だった。
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もともと地元カリフォルニアのロングビーチで学生映画を撮っていたコスカレリ監督は、映画仲間クレイグ・ミッチェルとのコンビで、平凡な若者とその弟の悩み多きままならぬ青春を描いた『誰よりも素敵なジム』(’75)で劇場用映画デビューを果たす。撮影当時のコスカレリはまだ18歳。製作費はミッチェルとそれぞれの両親から借金した。なかなか買い手が見つからなかったものの、コスカレリの父親の知人だったロサンゼルス・タイムズの映画批評家チャールズ・チャンプリンがラフカット版を見てユニバーサルに推薦し、素人が撮った自主製作映画にも関わらずメジャー公開されるという幸運に恵まれる。
ファンタジー(グラブル) (78), サクラ大戦 (26), シャドウバース (31) ..
『エルム街の悪夢』シリーズや『13日の金曜日』シリーズに比べるといささか地味だが、それでもなおカルト映画として世界中で根強い人気を誇る『ファンタズム』シリーズ。30万ドルの低予算で製作された記念すべき第1弾『ファンタズム』(’79)は、『悪魔のいけにえ』(’74)や『ハロウィン』(’78)といったインディペンデント系ホラーがメジャー級の大ヒットを飛ばす’70年代の時流に乗って、興行収入1100万ドルを超える大成功を収めた。とはいえ、その後40年近くの長きに渡って続編が作られることになろうとは、監督のドン・コスカレリ自身も想像していなかったに違いない。
ダンジョン飯:ライオスはサイコパス?強いと言われる理由を解説!
いかがでしたでしょうか?今回は『ダンジョン飯』に登場するキャラクターの種族ついて紹介しました。アドベンチャー作品でありながらファンタジー作品でもあり、様々な種族が登場します。それぞれ種族によってそれぞれ個性を持っており、好きな種族を見つけるのもまた物語を楽しむ秘訣かもしれません。種族にも注目してみてください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
トールマンは「人間」の中の人種の一つ。
コボルドは、犬の顔を持っており、犬を二足歩行にさせたような見た目の種族です。その見た目の通り、聴覚や嗅覚が非常に優れており、忠誠心が強いです。さらに毒への耐性を持っており、トールマンなどが即死に至る毒でも、腫れる程度でおさまるもよう。ただし、他の種族と比べると知力は低いようです。作中に登場するコボルドには、若手の冒険家が集まったパーティーメンバーのクロなどがいます。
ナマリ(ダンジョン飯) 本名:カーカブルードのナマリ 種族:ドワーフ 元ライオスのパーティとしてダンジョンに潜っていたドワーフの女性。 ライオスのパーティを抜けたあとは、学者のタンス夫妻のパーティに加わっている。
オークは、大柄で体毛が豊かであり、頭部には角のようなものが生え、犬歯が牙を持つ種族です。過去に、エルフたちとの抗争に敗れてダンジョンへと逃げてきた歴史を持っているため、今でもエルフなどを嫌っており、他種族から略奪することで生計を立てています。そのため、冒険者の討伐対象にもなっています。しかし、オークたちなりの文化も築いたりとしているようで、話し合いなどはできるようす。作中に登場するオークには、主人公のライオス・トーデンのパーティーメンバーであるセンシと顔なじみであるオークの頭のゾン族長などがいます。
話題の作品「ダンジョン飯」の中核をなすキャラクター、トールマン種族の「ライオス」に注目してみたいと思います。 この冒険世界において、主人公ライオスの力強さは広く認知されています。 彼は迷宮の深部への挑戦を果たし、剣技においても一流の腕前を持っています。
ノームは、小柄でありながら、大きな耳と大きな手が特徴的な種族です。エルフの次に魔法を得意とする種族ですが、精霊や霊魂などを扱う魔術に関して長けています。作中に登場するノームには、呪術の研究を行っているタンス夫妻や若手の冒険家が集まったパーティーメンバーのホルムなどがいます。
ダンジョン飯のハーフフット 小柄で華奢な体格をした種族。 手先が器用で、大きな耳が示すように聴覚をはじめとした五感も鋭敏。 中年と呼べる年齢の者でも少年少女のような若い容姿をしており、知らない人からするとトールマン(現実の人間に最も近い種族)の子供にしか見えない。
ドワーフは、小柄で筋肉質ような頑強な体を持つ種族です。トールマンなどと比べると長命で、力がある種族のため、炭鉱夫や鍛冶師、戦士になるドワーフが多いもよう。魔法は不得意で、適正は最も低いそうです。作中に登場するドワーフには、主人公のライオス・トーデンのパーティーメンバーであるセンシやライオスの元パーティーメンバーのナマリ、若手の冒険家が集まったパーティーメンバーのダイアなどがいます。
トールマン | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品情報
ハーフフットは、子どものような見た目を持つ小柄な種族です。トールマンの耳をそのまま大きくしたような耳が特徴的です。その小柄さから身軽で、さらに聴覚などの感覚器官が優れており、ハーフフットの鍵師や盗賊が多く存在します。しかし戦闘にはあまり向いていない種族で、魔法もあまり得意ではないもよう。作中に登場するハーフフットには、主人公のライオス・トーデンのパーティーメンバーであるチルチャックや若手の冒険家が集まったパーティーメンバーのミックベルなどがいます。
スヴァルトアールヴヘイムと呼ばれる地下世界に棲み、太陽光線を嫌い、日中は地上に出てこないとされ、ドヴェルグ(Dvergr)という小人族と同一視される。
エルフは、魔法を得意とする長命種族です。なんと500歳まで生きることも。縦に長く、先のとがったエルフ耳が特徴的です。作中に登場するトールマンには、主人公のライオス・トーデンのパーティーメンバーであるマルシルやライオスの妹をキメラ化させた狂乱の魔術師などがいます。