トルコ・リラ/USドルの為替レートの推移(1980~2024年)


また、トルコは慢性的な経常赤字の国であるため、外国からの資金流入に依存している傾向があります。そのため、USD/TRY(米ドルトルコリラ)の取引時には、トルコの情勢だけではなく、先進国の情勢も分析することが大切です。


米ドル/トルコリラのライブチャートや為替レートを瞬時に換算できる通貨コンバータ、ニュースなどはこちらをご覧ください。

USD/TRY(米ドルトルコリラ)は、高金利通貨の一つであるため、スワップポイント投資として人気のある通貨です。しかし、米ドルやユーロ、円などに比べ流動性が低くく、為替変動リスクが高い通貨ペアでもあります。

USD/TRY(米ドルトルコリラ)のトレード時には、両国の経済指標や投機筋・個人投資家の売り買いポジション状況など様々な要因を考慮する必要があります。このページではあらゆる角度からUSD/TRY(米ドルトルコリラ)相場を考察するデータをご用意しているので、是非参考にしてください。

アメリカ ドル / トルコ リラ【USDTRY=X】:為替レート・相場



25年の最大のテーマは、。トランプ氏の選挙公約は、トランプ減税の恒久化、法人税率引き下げ、関税引き上げ、移民規制の強化など。今回も『MAGA(アメリカを再び偉大に)』をスローガンとしたように、やろうとしていることは1期目とほぼ同じです。議会の上院と下院も同じ共和党が多数派となるトリプル・レッドが実現したため、トランプ大統領が自身の政策を推進しやすい状況でしょう。




16年大統領選挙ではトランプ氏の公約を織り込む形で、米ドル高や米株高、いわゆるトランプ・ラリーが発生しました。ただし、17年1月にトランプ大統領が就任すると、米ドルは下落基調に転じました。トランプ大統領の対外強硬姿勢が米ドル離れを引き起こしたこと、米FRBが利上げを進めるなかでも、長期金利が低下したことなどが背景でした。

トランプ大統領1期目と大きく異なる点があります。それは景気循環や金融政策の位相です。1期目のスタートは、米経済がリーマンショック後の長い低迷から立ち直り始めた局面でした。15年末に9年ぶりの利上げが実施され、本格的な利上げは16年12月以降、まさにトランプ政権1期目の前半と重なりました。今回は、22年春から23年夏までに大幅な利上げが実施され、24年9月からは利下げへと転換しています。

今後も米景気の拡大は続くでしょうか。減税や規制緩和は景気刺激効果が期待できそうです。一方で、インフレの再燃や財政赤字の拡大による長期金利の上昇、関税引き上げによる世界貿易の縮小、それらは景気失速をもたらすかもしれません。

トランプ氏の公約のうち、何がどんな形で実現するか、そして何が実現しないか。トランプ大統領が極端な政策を打ち出そうとした時に、閣僚や議会がブレーキをかけることができるか。それらを見極めることが重要となりそうです。

米経済に想定される3つのシナリオは以下の通り(詳細はの「マクロ経済の相場環境」をご覧ください)。


米国がソフトランディングを実現できれば、景気低迷に喘ぐ欧州との差が欧州通貨に対する米ドルのアドバンテージとなりそうです。また、市場は総じてリスクオンの地合いが想定され、資源価格や新興国通貨にとって比較的良好な環境と言えそうです。日銀にとっても金融政策の正常化を進め易い環境かもしれませんが、利上げは限定的となり、内外金利差が引き続き「円安」要因として意識されるでしょう。


世界的に景気が低迷するなか、資源価格は下落し、またリスクオフの地合いが資源・新興国通貨にとってマイナスとなります。日本も金融政策の正常化を先送りせざるを得なくなります。ただ、リスクオフに伴う「質への逃避」や資金還流が円を支える構図はみられるかもしれません。


トランプ大統領が選挙公約の実現にまい進するケースでは、市場のセンチメントは不安定になり、米ドルや株価、市場金利(債券価格)は乱高下します。このシナリオが実現した場合は、しかるのちにサブシナリオ(リセッション)に変異する可能性が高まります。

◇2025年6月までの主なイベント:
1月2日 米デットシーリング(連邦債務上限)復活
1月20日 米トランプ大統領就任
2月23日 ドイツ総選挙
3月中旬 春闘集中回答日
4月13日 大阪・関西万博開幕(10月13日まで)


25年6月までの米ドル/円は24年年間とほぼ同じ140円~160円のレンジでの推移が想定されます。米経済がソフトランディングを実現できれば、米ドル/円は160円に向けてジリジリと上昇しそうです。ハイパー景気のシナリオでは早い段階で米ドル/円の上昇が進むかもしれません。ただし、いずれの場合でも160円を超える動きには本邦当局による米ドル売り円買い介入の可能性があり、市場もそれを警戒するでしょう。

一方で、リセッションのシナリオでは、米FRBがアグレッシブな利下げを進めることで、米ドル/円には下落圧力が加わりそうです。もっとも、本稿執筆時点で市場が予想するように日銀が6月までに1回0.25%の利上げにとどめ、あるいはそれすらも困難になる状況では、米景気の落ち込みがよほど大きくならない限り、140円を超える「円高」の可能性は低そうです。

引き続き米長期金利(10年物国債利回り)が重要なカギを握りそうです。トランプ政権の誕生に向けて債券市場のセンチメントは弱気に傾いているようです。長期金利が上昇する、あるいは4%台後半を維持するならば、米ドル/円のプラス材料となりそうです。ただし、財政赤字拡大の懸念から長期金利が上昇する場合は、「悪い金利上昇」と判断されて米ドル/円に下落圧力が加わる可能性にも注意は必要でしょう。

どのシナリオにおいても、為替相場のボラティリティ(変動)は大きくなりそうです。トランプ次期大統領の発言や行動が予測不能であり、市場が想定外の事態に直面する可能性もあるからです。トランプ次期大統領によるSNSなどの発信が頻発しそうな現地時間の夜、日本時間の午前中にはとりわけ注意が必要かもしれません。<西田>






米FRBやBOE(英中銀)が利下げに慎重な姿勢をみせる一方で、ECBは積極的に利下げを進める姿勢をみせています。3会合連続(通算4回目)の利下げを決定した12月理事会後の会見で、ラガルド総裁は、景気は足もとで勢いを失いつつあり、リスクは下振れ方向にあると認めました。また、トランプ次期大統領の関税引き上げ方針など貿易摩擦にも懸念を表明しました。ラガルド総裁は一方で、インフレとの戦いはまだ完了していないとしつつも、インフレ率は25年に2%に落ち着くと自信を見せました。

12月20日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、25年6月までの4回の理事会で市場は0.25%×4回分の利下げをほぼ完全に織り込んでいます。

ECBと米FRBとの金融政策の差を基にすれば、ユーロは対米ドルで軟調に推移しそうです。ただし、米国がリセッション(景気後退)入りするなどして、FRBの利下げペースが速まるようであれば、ユーロは相対的に有利になるかもしれません。また、ECBとBOE(英中銀)の予想利下げペースにも差はありますが、英国景気の低迷を前提とすれば、ユーロ/英ポンドの下落余地はやや小さめかもしれません。<西田>









英国は23年後半のリセッション(景気後退)からいったん脱したものの、足もとで再び景気が低迷しているようです。24年9月と10月の月次GDPはいずれも-0.1%とマイナスでした。6月と7月は横ばいだったので、6月以降でGDPがプラスだったのは8月(0.20%)のみです。また、総合PMIは8月をピークに低下基調にあり、12月(速報)は前月と同じ50.5と、辛うじて景気の拡大を示唆しました(50割れで景気縮小を示唆)。

BOE(英中銀)は景気への懸念を強めつつも、インフレ改善の遅れから利下げには慎重です。12月のMPC(金融政策委員会)でも政策金利を4.75%と主要中銀の中では高い水準に据え置きました。ただし、決定は6対3で、3人が利下げを主張したことが明らかになっています。12月20日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む25年2月の利下げは7割弱。同6月には追加利下げがほぼ5割織り込まれています。今後の状況次第では、追加利下げの観測が高まり、英ポンドの重石となる可能性もありそうです。<西田>








RBAは23年11月に0.25%の利上げを行った後、24年12月まで9会合連続で政策金利を4.35%に据え置きました。

前回24年12月の政策会合では、RBAのタカ派的な金融政策スタンスが変化したことが示唆されました。RBAは12月会合時の声明で、従来の「何も決定しておらず、何も排除していない(利上げする可能性もある)」と「政策は十分に景気抑制的である必要」を削除し、「理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移しているという、ある程度の確信を得つつある」としました。将来の利下げに向けた地ならしとの解釈ができます。

市場では、早ければ25年2月の会合で利下げが行われるとの観測があります。FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中銀)など日銀を除く主要中銀の多くが利下げを行うなかで、RBAは政策金利を据え置いてきたこともあり、実際に利下げが行われた場合のインパクトは大きくなるかもしれません。

豪ドル/米ドルについては、FRBの利下げペースも重要です。FRBの利下げペースが緩やかならば、豪ドル/米ドルは軟調に推移する可能性があります。

日銀はいずれ追加利上げを実施すると考えられます。ただその場合でも、日銀の政策金利の水準がRBAと比べてかなり低い状況に大きな変化がなければ、金融政策面から豪ドル/円はそれほど下落しないかもしれません。

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【豪ドル/NZドル】
RBNZ(NZ中銀)が積極的な利下げを実施する一方で、RBAは政策金利を据え置き続けたことが、豪ドル/NZドルを支援してきました。

今後は、RBNZの利下げペースは鈍化する可能性がある一方で、RBAは利下げを開始すると考えられます(*RBNZの金融政策の詳細はNZドルの項をご参照ください)。実際にRBNZの利下げペースが鈍化してRBAが利下げを開始すれば、豪ドル/NZドルは下落する可能性があります。<八代>









RBNZ(NZ中銀)は24年8月に利下げを開始し、11月まで3会合連続で利下げを実施。利下げ幅は8月が0.25%、10月と11月が0.50%でした。

前回24年11月会合時の声明では、「経済状況が予測通りに推移し続ければ、25年初めに政策金利をさらに引き下げることができると予想している」とされ、追加利下げが示唆されました。

これまでの積極的な利下げによって政策金利はRBNZが中立金利(景気を過熱も冷やしもしない政策金利の水準)と推計する2.5~3.5%のレンジ上限に近づきつつあります。利下げペースはいずれ鈍化すると考えられます。実際にRBNZの利下げペースが鈍化すれば、金融政策面からのNZドル安圧力は緩和する可能性があります。

NZドル/米ドルに関しては、FRBの利下げペースも重要です。FRBの利下げペースが緩やかな場合、米ドルが全般的に強含んでNZドル/米ドルは上値が重い展開になりそうです。NZドル/円については、日銀の追加利上げのペースが緩やかならば、それほど下落しないかもしれません。日銀と比べてRBNZの政策金利がかなり高い状況に大きな変化はないとみられるからです。<八代>






BOC(カナダ中銀)は24年6月に利下げを開始し、12月まで5会合連続で利下げを実施しました。利下げ幅は6月・7月・9月が0.25%、10月と12月が0.50%でした。

前回24年12月会合時のBOC声明では、従来の「政策金利はさらに引き下げられると予想している」が削除され、「政策金利のさらなる引き下げの必要性を会合ごとに判断していく」になりました。マックレムBOC総裁は会合後の会見で「経済がおおむね(BOCの)予測通りに推移すれば、金融政策へのアプローチはより緩やかになると予想している」と発言。今後の会合で利下げを見送ることもあり得ることや、利下げするとしても幅は0.50%よりも小さくなることが示唆されました。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、BOCの政策金利は25年12月時点で2.75%との見方が有力です(24年12月20日時点)。仮にこの通りになるならば、BOCの政策金利はあと0.50%引き下げられることになります。

24年終盤の米ドル/カナダドル上昇は、FRBとBOCの利下げペースの差が主な要因と考えられます。FRBとBOCの政策金利差の拡大に歯止めがかかれば、金融政策面からの米ドル/カナダドルへの上昇圧力は緩和しそうです。

トランプ米次期大統領の政策には注意が必要です。トランプ氏は、25年1月20日の大統領就任後ただちにメキシコとカナダからの輸入する製品すべてに25%の関税を課す考えを示しています。実際に対カナダ関税が発動されるのかどうか注目です。対カナダ関税の発動が見送られた場合、カナダドル高材料になりそうです。<八代>






TCMB(トルコ中銀)は24年3月に利上げを実施した後、11月の会合まで8回連続で政策金利を50.00%に据え置きました。

トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は24年5月の前年比75.45%をピークに鈍化しており、11月は同47.09%でした。高金利の影響によってトルコ経済は減速しており、トルコのGDP(国内総生産)は4-6月期と7-9月期にいずれも前期比マイナス0.2%となり、簡便的にリセッション(景気後退)の定義とされる2四半期連続のマイナス成長となりました。

市場ではTCMBは12月26日の会合で利下げを行うと予想されています。本稿執筆時点で12月会合の結果は判明していませんが、仮に利下げが実施された場合、25年の利下げペースがどうなるのかが注目されます。TCMBが積極的な利下げを続ければ、トルコリラが軟調に推移する可能性があります。

23年6月に経済チームを刷新(財務相とTCMB総裁が交代)してからは、エルドアン大統領がTCMBの金融政策について発言することは少なくなりました。エルドアン大統領が経済チーム刷新前のように再び金融政策に干渉するようなら、トルコリラには下押し圧力が加わりそうです。<八代>




SARB(南アフリカ中銀)は24年9月と11月の2会合連続で利下げを行いました(利下げ幅はいずれも0.25%)。

南アフリカの24年11月CPI(消費者物価指数)は前年比2.9%と、SARBのインフレ目標(3~6%)を2カ月連続で下回り、目標中間値である4.5%は4カ月連続で下回りました。SARBは今後さらに利下げすると考えられるものの、利下げのペースはこれまでの0.25%が継続される可能性があります。仮にFRBの利下げペースが鈍化するなかで、SARBが大幅な利下げを行えば、南アフリカランドは対米ドルで下押し圧力が加わるおそれがあるからです。

南アフリカランド/円については、日銀が追加利上げを実施してSARBが利下げを継続したとしても、いずれもそのペースが緩やかならば、それほど下落しないかもしれません。<八代>




BOM(メキシコ中銀)は24年12月19日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を10.25%から10.00%へと引き下げました。利下げは4会合連続です。

12月会合時の声明では、「政策金利のさらなる調整(追加利下げ)が可能になると予想している」と改めて表明されました。また、新たに「ディスインフレの進展を踏まえ、抑制的な金融政策スタンスを維持しつつも、今後の会合ではより大幅な下方調整が検討される可能性もある」が追加され、今後0.25%を超える幅の利下げもあり得ることが示唆されました。これらはメキシコペソにとってマイナスと考えられるものの、日銀の追加利上げのペースが緩やかならば、メキシコペソ/円に関しては他のクロス円と同様にそれほど下落しない可能性があります。

カナダドルと同じくトランプ米次期大統領の政策には要注意です。トランプ氏は、25年1月20日の大統領就任後ただちにメキシコとカナダからの輸入する製品すべてに25%の関税を課す考えを示しています。実際に対メキシコ関税が発動されればメキシコペソには下押し圧力が加わると見られる一方、関税の発動が見送られれば、メキシコペソ高材料になりそうです。<八代>




24年はノルウェーとスウェーデンの金融政策に大きな差が出ました。リクスバンク(スウェーデン中銀)は5月に利下げを開始し、政策金利は年初の4%から年末に2.50%まで低下しました。一方、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は23年12月に政策金利を4.50%まで引き上げ、24年を通してその水準を維持しました。

25年は、ノルゲバンクも利下げを開始する見通しです。そうしたなかでも序盤は政策金利差(スウェーデン<ノルウェー)の拡大が予想され、引き続きNクローネにプラスとなりそうです。ただ、ノルゲバンクの「据え置き⇒利下げ」は金融政策の転換であり、転換時においてはNクローネの下落圧力を生みそうです。また、年央にかけてリクスバンクの政策金利が中立水準に接近することで、打ち止め観測が浮上するかもしれません。

Nクローネ/Sクローナ(NOK/SEK)については、ノルウェーが産油国であるため、原油価格の動向も重要。中国をはじめとする世界経済の減速が一段の需要鈍化をもたらすのか(原油安=Nクローネ安要因)、中東情勢の緊迫化が原油価格の上昇(=Nクローネ高要因)につながるのか、見極める必要がありそうです。<西田>




トルコは地理的に欧州とアジアをつなぐ位置にあり、中東にも隣接する貿易の要衝で、文化の交差点でもあります。15世紀にこの地にあったのはオスマン帝国。最大の都市イスタンブールは、古くはシルクロードの中継地点として栄えました。
現代も結節点ならではの外交を行っています。北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国でありながら、非欧米軍事同盟である上海協力機構の対話パートナーであり、中露との軍事協力も行い、2022年ロシアによるウクライナ軍事侵攻では仲介役に乗り出しました。2023年にはイスラエルとハマスの衝突においても仲介に意欲を見せています。
一方で、地政学上のリスクを抱えることにもなっていましたが、サウジアラビアとの関係は改善の兆しが見られ、エジプトにはエルドアン大統領が2024年2月、12年ぶりに訪問を果たし、隣国ギリシャとは2023年12月に関係改善で合意しています。長らく対立していたシリアとも隣接していますが、ロシアの仲介で関係再構築に動いているようです。
産業面では地理的特性を生かし欧州向けの自動車など工業製品の輸出拠点となっています。
トルコはNATO加盟国ですが、政府がテロ組織に指定しているトルコ分離主義勢力のクルド人のクルディスタン労働者党 (PKK) などを擁護しているとして反対してきたフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を認めました。一方、自らはEU (欧州連合) 加盟を目指しています。

トルコ・リラ/USドルの為替レートの推移(2021年1月~2024年11月)

2023年の実質GDPはトルコ統計機構 (TUIK) によると前年比4.5%の成長となり、政府目標の4.4%をわずかながら上回りました。個人消費が伸びを牽引、設備投資も好調でした。国民の平均年齢が低く、潜在成長力は比較的高い水準にあります。
産業は毛織物など軽工業が中心で、地理的優位性から自動車工場が日本からも進出しています。イスタンブールや奇観で有名なカッパドキアを抱える観光立国でもあります。ただし、慢性的な貿易赤字国で、海外からの資金に依存しています。高いインフレ率にも悩まされてきました。その裏返しで、政策金利の高いことがトルコリラの魅力にもなっています。

内政面では、宗教を政治に持ち込まない世俗主義の政党と、宗教主導の政党との間で争いが起きることが多く、軍が政治介入することもありました。2016年には軍部のクーデターが失敗に終わっています。
政治面では、エルドアン氏が2003年に首相就任、2014年から大統領を務めていて、2023年5月の選挙にも決選投票の末に勝利し続投が決まりました。ロシア・ウクライナの仲介役を買って出たり、黒海経由の穀物輸送協定の締結を主導したりするなど外交面でも力を発揮しています。金融当局に強い圧力をかけていたことで知られます。

東京海上アセットマネジメントの「外国為替グラフ トルコ・リラ/円」ページ。トルコ・リラの対円為替レートの推移をご確認いただけます。

トルコリラの最大の特徴はその金利の高さです。南アフリカランド、ブラジルレアルなどと並ぶ高金利通貨のひとつとして知られ、より大きなインカムゲインを求める投資家から人気の高い通貨です。
金利の高さは、一方でインフレ率が高いということでもあります。2022 年末、消費者物価指数 (CPI) は食料やエネルギー価格の上昇を背景に前年比+80%超という歴史的な高さを記録しました。30%台まで低下したあと再び上昇しておりインフレ圧力の高さには注意が必要です。また、通常であれば中央銀行は高いインフレを抑えるためには金利を上げる政策を導入するのですが、「イスラム金融」の考え方を持つエルドアン大統領が強硬に反対して2021年には逆に利下げを行い、中央銀行の独立性という意味で他国からの信用を失いました。エルドアン大統領による中央銀行総裁の解任でトルコリラが急落したこともありますが、2023年からは経済政策の転換が見られています。通貨当局がトルコリラ防衛策を打ち出したこともありましたが、資本統制につながるとの懸念や取引量の低下などの副作用もありました。通貨防衛、為替相場への介入もあり、外貨準備高は2024年2月まで減少基調でした。その後持ち直していますが、外貨準備高の推移にも注意を払いたいところです。
トルコはエネルギーの純輸入国であり、慢性的な貿易赤字・経常赤字になっていることも通貨安圧力になっています。
他の新興国通貨と同様、短期的に相場が急激に変動することもあります。
貿易赤字国で、国内の資金需要を満たすために海外資金の流入に依存しています。そのため、グローバルな資金の流れの変化には敏感に反応します。世界景気の悪化や金融不安の兆しなどには気を付けたいところです。
また、内政リスクや中東方面の混乱がトルコリラ相場に大きな影響を与えることもありますので、中東問題に関するニュースを注意深くウォッチしましょう。

今日のドル円FXのレンジ予想・終値予想ほか、FXトレーダーの皆様の役に立つドル円関連情報をお送りします。


【新興国通貨】ドル円のさらなる上昇は米雇用統計次第 ドル円 ..

ここ数年のトルコリラ相場を巡っては、『金利の敵』を自任するエルドアン大統領による「高金利が高インフレを招く」とする因果が倒錯した理論の下、中銀はインフレにも拘らず度々利下げを迫られるとともに、中銀の独立性が脅かされる動きが相次いだことも重なり調整の動きを強めてきた。しかし、昨年の大統領選、及び総選挙後に行った内閣改造において、経済チームに正統的な政策運営を志向する陣容を固めるなどそれまでの政策方針から大幅な転換を図る動きをみせた。事実、昨年来の中銀は大幅利上げ(累計4150bp)を実施するとともに、政府もリラ安阻止を目的に導入した保護預金制度の解除に動くなど、着実に正統的な政策運営に舵を切る動きをみせてきた。結果、政府や中銀によるこうした動きを追い風に主要格付機関が相次いで同国の外貨建長期信用格付の格上げを行うなど、国際金融市場の同国に対する見方が変化しつつある様子がうかがえる。また、中銀は今月公表した最新のインフレ報告書でインフレ見通しを上方修正するとともに、カラハン総裁は先行きの金融政策を巡って追加利上げの可能性に言及するなど『タカ派』姿勢を示したほか、政府も包括的な財政緊縮策を公表するなどインフレ抑制に向けて財政、金融政策が協調する考えをみせている(注1)。上述のようにリラ相場は過去数年に亘って調整の動きに歯止めが掛からない展開が続いてきたものの、こうした政策転換も追い風に足下では底打ちする動きが確認されている。なお、このところの国際金融市場においては米ドル高の動きに一服感が出ており、そうした動きも影響を与えている可能性はあるものの、リラ相場の『潮目』にいよいよ変化の兆しが出ている様子がうかがえる。こうしたなか、中銀は23日の定例会合で政策金利(1週間物レポ金利)を2会合連続で50%に据え置く決定を行い、会合後に公表した声明文では今回の決定について前回会合同様に「利上げの効果発現に時間を要する点を考慮して現状維持を決定した」上で、先行きの政策運営について「インフレリスクに細心の注意を払いつつインフレ基調が大幅かつ持続的な低下が確認されてインフレ期待が予想通り収束するまで引き締め姿勢を維持する」との考えをあらためて強調している。足下のインフレ率は前年に頭打ちの動きを強めた反動で上振れしやすい上、年明け以降の最低賃金引き上げやリラ安による輸入インフレ、異常気象による食料インフレ、中東情勢の不透明感を受けた原油価格の底入れなど、物価上昇圧力に繋がる材料が山積するなかで一段と加速している。ただし、年明け以降の前月比のインフレ動向は頭打ちの動きを強めており、上述したようにリラ相場の潮目が変わることにより輸入インフレ圧力の後退が促されれば向こう数ヶ月でインフレが頭打ちに転じると見込まれる。中銀が引き締め姿勢を維持することに加え、ウクライナ戦争以降の同国経済を支えてきたロシアからの移民に対する政策転換を受けて3分の1程度が減少する動きが確認されており、先行きは需要が抑えられることもインフレ抑制を促すことが期待される。あとは、エルドアン大統領が再び変節することがないことを祈るのみということであろう。

トルコリラ円の11月18日は概ね4.50円から4.45円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.48円で先週末終値と同値だった。

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

米ドル/トルコリラ(USD/TRY) 2時間足 FX為替レート・チャート

トルコリラ相場を巡っては、昨年の大統領選後に行われた内閣改造において、経済政策を主導する財務相と中銀総裁を正統的な政策運営を志向する陣容で固めるとともに、中銀は累計4150bpもの大幅利上げに、政府も為替防衛を目的に導入した保護預金制度の解除や包括的な財政緊縮策に動くなど着実に正統的な政策運営に舵を切ったことも追い風に、調整の動きが続いた基調から底打ちに転じるなど変化が生まれる兆しがみられた(注1)。さらに、ここ数年の商品高やコロナ禍一巡による経済活動の正常化の動きに加え、リラ安による輸入インフレも重なりインフレは上振れして中銀目標(5%)から乖離してきたものの、インフレが頭打ちに転じるとともに(注2)、7月のインフレ率も前年比+61.78%と9ヶ月ぶりの伸びに、コアインフレ率も同+60.23%と丸1年ぶりの伸びに鈍化するなど一段の頭打ちを強めていることが確認されている。なお、7月のインフレ率は前月比では+3.23%と前月(同+1.64%)から上昇ペースが加速しており、これはアルコールやたばこの値上げのほか、エネルギー価格の上昇、燃料に賦課される税金の調整などが影響している。しかし、前年には食料品をはじめとする生活必需品のほか、リラ安による輸入インフレが幅広く財価格を押し上げる動きがみられたため、その反動も影響して前年比ベースのインフレは頭打ちの動きを強めやすい環境にあると捉えられる。こうしたなか、中銀は先月末の定例会合において政策金利を4会合連続で50%に据え置くとともに、インフレ鈍化の動きを確実にすべく引き締め姿勢を堅持する考えをあらためて強調する考えを示している(注3)。その直前には、昨年来の政府、及び中銀による政策運営を評価する形で主要格付機関のムーディーズ社が外貨建信用格付を2ノッチ引き上げており(B3→B1)、これにより主要格付機関の3社がいずれも格上げを実施するなど国際金融市場における評価は着実に向上していると捉えられる。このようにトルコを取り巻く環境は着実に変化しているものの、足下の国際金融市場においては米ドル高の動きに一服感が出ているにも拘らず、リラ相場は再びジリ安の動きを強めるとともに最安値を更新する展開が続いている。こうした背景の一因には、足下のインフレ鈍化や中銀による断固とした姿勢にも拘らず、実質金利は依然として▲10%を上回る大幅マイナスが続いており、世界的にみても投資妙味が乏しいことがある。さらに、中東情勢を巡る不透明感が再び強まる動きがみられるなか、同国のエルドアン大統領は昨年来のパレスチナ自治区ガザでの戦闘に関連して親パレスチナ、親ハマスの姿勢を鮮明にする一方でイスラエル批判を繰り返しており、投稿を巡ってSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)へのアクセスを遮断するといった強硬手段に動いていることも影響していると考えられる。他方、今月初めにエルドアン大統領は米国とロシアの間で実施された囚人交換を巡って仲介役を担うなど、ウクライナ戦争以降に様々な場面でロシアと欧米諸国などとの間の交渉の中核を担う動きをみせてきたなかで存在感を示してきた。こうした状況ながら、地理的に近い中東情勢を巡る不透明感やエルドアン大統領の『立ち位置』がリラ相場の重石となっている可能性がある。そして、このところの国際金融市場は中国経済を巡る不透明感に加え、米国経済の減速懸念が意識されるなかで混乱の度合いを強めるなどリスクオフの様相を強めており、投資妙味が極めて低いトルコ資産が真っ先に手放される対象となっていることも影響しているとみられる。その意味では、リラ相場の反転には金融市場環境が好転するなど外部環境の変化に加え、中銀がインフレ鈍化に向けて忍耐力を維持することができるか、そして、エルドアン大統領が金融政策運営のみならず、中東情勢を巡ってさらなる『不規則な』発言や行動を抑えることができるか否かに掛かっている状況は変わっていないと捉えられる。

FRBの利下げペースが緩やかならば、豪ドル/米ドルは軟調に推移する可能性があります。 ..

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。