世界の中銀、外貨準備の「武器化」懸念-ドル離れのリスクに拍車も ..


つまり、トランプ新大統領は、諸外国に対して一種の行動変容を強制するための手段として、関税を引き上げるという手段を用いていることになる。ではトランプ新大統領が、100%の関税を課すことでBRICSに対して何を求めているかというと、とりわけロシアを中心に議論が進んでいる「ドル離れ」の試みを止めることに他ならない。


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トランプ新大統領が関税を強化する理由は、貿易赤字の是正と国内雇用の確保にあると考えられる。関税の強化をチラつかせることで、諸外国の企業が米国に拠点を移転し、雇用を生み出すことを期待しているのだろう。またカナダに対しては、特定の合成麻薬が米国に流入することを防ぐ観点からも、関税の発動をチラつかせている。

年明けに就任する米国のトランプ新大統領は、SNSであるXの自身のアカウントで、ドル離れを進めようとするBRICSに対して、100%の輸入関税を課すと表明した。先にトランプ大統領は、諸外国からの輸入品に対して10から20%の関税を課す方針を表明していたが、カナダやメキシコの輸入品には最大で25%の関税を課すとしていた。

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近年、BRICSやそれに近しい新興国の間では、米ドル以外の通貨を用いて貿易・金融決済を行うこと、すなわち「ドル離れ」の議論が活発化している。米ドルではなく双方の通貨を用いた決済が奨励されており、それに加えて、いわゆる中銀デジタル通貨(CBDC)の仕組みを用いた独自の決済網を整備しようという構想も議論されている。

1回は2002年6月末に前期比3.14%ポイント、もう1回は2009年6月末に同2.37%ポイント、それぞれ低下している。いずれの期間も大幅なドル安が進んでいた。名目実効ドル相場で見ると、2002年4~6月で2.6%下落し、2009年4~6月で4.2%下落している。今回の2020年10~12月も3.4%下落した。ちなみに2020年通年では3.6%下落しているので、10~12月期に進んだドル安はとりわけ大きなものだったことがうかがえる。外貨準備におけるドル売りがなくとも、ドル安が進んで残高に占めるドル比率は低下する。

民間部門が金利差で動いているのに対し、公的部門では、ドル持ちすぎの警戒感から、ドル離れが進行中だ。

ドル比率がほぼ過去最低並みになった背景には何があるのだろうか。これを機に世界の外貨準備の現状と展望を整理してみたい。結論から言えば、今期のドル比率低下に関してはドル安による部分が相当大きいと推測される。過去を振り返ってみると、3カ月間で今回以上にドル比率が低下したケースは四半期データが入手可能になった1999年以降で2回しかない。

特筆すべきは残高に占めるドル比率の低下で、2020年12月末は59.02%と前期比1.47%ポイントも下がった。1995年の58.96%以来、25年ぶりの低水準である。ちなみにCOFERが四半期ベースで構成比を公表し始めたのは1999年以降なので1995年は年次データ。なお、今回はドルも含めて数年ぶりの動きが目立っており、小数点第2位まで見ることで「いつ以来か」をはっきりさせることができる。平時は小数点第1位までで議論しているが、今回はあえて第2位まで含めてみた。

揺らぐドル覇権、拡大続けるBRICSを中心に急速に広まる ..

BRICSや新興国で進むこうした動きに歯止めをかけ、基軸通貨としての米ドルの位置づけを確保しようという思惑があるため、トランプ新大統領は100%関税を表明したようだ。もともとトランプ新大統領は、下野していた間にこうしたスキームの検討を共和党関係者との間で進めていたと報じられており、それが現実のものとなったかたちだ。

IMF(国際通貨基金)が3月31日に公表した外貨準備の構成通貨データ(COFER)は為替市場を中長期的に展望するにあたって大変興味深いものだった。世界の外貨準備高は2020年12月末で12兆7000億ドルと9月末から4544億ドル増加した。水準としては過去最大である。後述するように、2020年は「ドル安の年」だったので、ドル建て換算額がかさ上げされた分も大きいと考えられる。しかし、重要なことは残高の水準ではない。


グローバル金融資本主義: ドル離れとサブプライムローンの深淵 | 通販

そうした点から考えれば、米国がトランプ政権のようにひどい政策をとらない限り、この先30~40年はドルが重要な国際通貨の一つであり続けるでしょう。ドルの影響力は低下し、人民元のシェアは増えているかもしれませんが、ドルに取ってかわる存在にはなりません。中国には自由で開かれた資本市場がなく、何より民主的な政府をもっていないからです。ドルのかわりに特定の通貨が基軸通貨になるというのではなく、複数の通貨が役割を担うということになるのではないでしょうか。

Barry Eichengreen 1952年生まれ。米国を代表する経済学者の一人。ハーバード大准教授、国際通貨基金(IMF)シニア政策アドバイザーなどを歴任した。著書に『とてつもない特権 君臨する基軸通貨ドルの不安』(勁草書房)など。

【10月7日 AFP】湾岸諸国が原油のドル立て取引の中止を検討しているとの報道を受け、ドルが下落している中、金価格が高騰している。

国際通貨の条件は、四つあります。経済規模がある程度大きいこと、通貨価値が安定していること、自由に取引できる流動性が確保されていること、国の安全保障がしっかりしていることです。

「ドル離れなら関税100%」 | 日本海新聞 NetNihonkai

通貨は国力を反映しているが、ユーロ圏には財務省がなく軍隊ももちません。中国は経済力は大きいですが、金融の力が弱く、自由に両替できない人民元をあえて取引に使おうとする国は少ない。SWIFTを通じた国際決済シェアもドルが40%にのぼるのに対し、人民元は3%程度にすぎません。近い将来に人民元がドルのかわりになれるとは思えません。

トランプ氏、ドル離れを図る中国やロシアなど主要新興国をけん制。「ドル離れなら関税100%」

11年前に『とてつもない特権 君臨する基軸通貨ドルの不安』を出版したときは、ドルからユーロや人民元への移行がもう少し早く進むと考えていましたが、予想よりもペースが遅かった。

「ドル離れなら関税 100%」 トランプ氏、中国やロシアけん制

IMFが発表した外貨準備の構成通貨データ(COFER)を見ると、ドルの比率は58.22%と過去最低値を更新した。そんなドルの代わりに台頭しているのが、カナダドルや豪ドル、人民元である。堅調なドル相場をよそに、外貨準備でのドル比率の低下は何を意味しているのだろうか。(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

1人当たりの名目GDP ドル換算で初めて韓国下回る 円安影響か | NHK

残るは中国の人民元だが、たとえロシアが石油を中国に人民元で売ったとしても、人民元で中国から輸入できる製品は限られます。他の国から製品を買おうとすればドルなど国際的な通貨が必要ですが、ドルに両替できる中国の銀行も2次制裁を恐れて手を出さないでしょう。

【NHK】内閣府によりますと、日本の1人当たりの名目のGDP=国内総生産がドル ..

ただ、制裁を科しているのは米国だけでなく日英欧と協調して進めており、ロシアが「ドル離れ」を進めようにも、ユーロやポンド、円に移すわけにはいきません。

これをもって世界でドル離れが進んでいるとする論調もありますが、いずれにせよ、構造的に金価格が上がりやすい状況であるのは間違いないでしょう。

今年3月にまとめたIMFのリポート「ドル支配のステルス(見えない)衰退」に書いたとおり、この20年間で世界の外貨準備に占めるドルの比率は70%から60%へと緩やかに低下しています。ロシアに対する制裁を受け、さらに低下が進む可能性があります。

トランプ大統領の対外強硬姿勢が米ドル離れを引き起こしたこと、米 ..

9月30日、IMF(国際通貨基金)から外貨準備の構成通貨データ(COFER)が公表された。為替市場を中長期的に展望するにあたって重要なデータであるため、筆者は定期的に観測している。

止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める<金価格の史上最高値更新が止まらない。

しかし、経済制裁が相手国の政策を変えるような効果を発揮するまでには時間がかかります。だからといって、核兵器をもつロシアに武力で対抗しようとすれば、核戦争に発展する危険性もあります。即効性はないかもしれませんが、経済・金融制裁で対抗するほかありません。

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西側諸国による経済制裁は、ロシア経済に深刻な打撃を与えています。国際通貨基金(IMF)によると、ウクライナへの侵攻前はロシアの今年の経済成長率は3%弱の見通しでしたが、侵攻後、制裁の影響でマイナス8.5%に下方修正された。それ以上のマイナスに陥るとの見方も多くあります。

ドル(約8千万円)の賄賂を受け取ったとされる。また、今年の台湾総統選 ..

基軸通貨としてのドルは安泰という一般的な見方は「あまりにも無邪気で自己満足的であるように思われる」とし、投資家が理解すべきは「ドルの使用を完全に回避することはできないグローバルサウスだが、そのうちの多くの国がすでにドルを使うことを望まないようになっているということだ」と論じた。

止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」中国の外貨準備のうち、金が約4%を占める 金価格の史上最高値更新が止まらない。

世界の外貨準備は、2024年6月末で前期比▲36.2億ドルの12兆3474億ドルと微減だった。今年4~6月期に関して3月末と6月末で比較すると、名目実効ドル相場(NEER)は約1.8%上昇した。その分、世界の外貨準備に占めるドル比率は価格効果もあって嵩上げされた可能性が推測される。

主要6通貨対比ドル価値を指数化したドルインデックスはドナルド ..

とはいえ、基軸通貨としてのドルの役割がすぐに疑われることはなさそうだ。両氏は、大規模で流動性が高く、十分に機能するドル中心の金融市場のおかげで、途上国にはドルから離れる余力はまだないと分析。その上で、こうした状況が続くとは「決まっていない」し、各国がドルの使用を積極的に避ける時が到来するかもしれないとも予想する。