急速に進む円安修正~今後のシナリオを展望する | ニッセイ基礎研究所
まず、「過去のレートの分析」工程で、ドル円レートの1996年以降のデータをAIに読み込ませ「1996年からの直近のドル円レートを分析してください」と指示したところ、AIはその週次データを解析したうえで、「長期的なレンジ相場」「1998年から2012年にかけての円高トレンド」「2012年以降の円安トレンド」「新型コロナショック後の急激な変動」「直近の動向」という5つの特徴について、以下の通り洞察した(図表1)。すなわち、「過去28年間、ドル円レートは80円から150円のレンジ内で推移しているが、1998年から2012年にかけての円高トレンドに続き、2012年以降は日銀の金融緩和政策や米国の金利上昇を背景に円安トレンドに転じた。2020年の新型コロナショックでは一時的に円高が進行したが、その後はドル高・円安方向に振れた。2023年に入ってからは127円から153円の範囲で推移し、米国の利上げペース鈍化観測から上値の重い展開となっている。今後の動向は日米の金融政策の違いやグローバルな経済情勢に左右される」というものである。
ドル円相場、プロの予想割れる 2025年は138円から160円まで
このAIが作成した2024年度の世界の地政学、経済、政治動向に関する楽観シナリオを改めて読み込ませたうえで、「楽観シナリオにもとづき2024年6月末、9月末、12月末のドル円レートを予測してください」と指示したところ、AIは、前提条件として政治の安定と国際協力の強化、経済成長の加速、地政学的リスクの低減が進むことという3点を挙げたうえで、2024年6月末130円、2024年9月末125円、2024年12月末120円という予測を算出した(図表3)。
そのようななか、人工知能(AI)を用いたドル円レート予測手法が注目を集めている。AIは膨大な過去データや経済指標、ニュース情報などを学習し、それらの複雑な相関関係を見出すことで予測精度を高めている。また、AIによる予測は、人間の感情に左右されることなく客観的かつ迅速に行われるため、市場参加者の意思決定をサポートする有力なツールとして期待が高まっている。一方で、その仕組みは非常に複雑であるため、予測結果の解釈や活用については確立されていない部分も多い。さらに、AIによる予測は過去のデータにもとづいているため、予期せぬイベントや市場の変化に対応することが難しいという指摘もある。
今月月初に1ドル152円台でスタートしたドル円は、中旬に一時156円台まで円安が進み、足元でも155円前後とドルが高止まりしている。
まず、「トランプ氏の経済政策についての発言をまとめてください」とAIに指示したところ、税制政策では法人税改革として国内生産企業の法人税率を21%から15%に引き下げ、2017年の減税措置の恒久化、チップ収入や社会保障給付への課税廃止が提案された(図表1)。個人向け減税としては、所得税の最高税率引き下げの継続、残業代への課税廃止、州・地方税の税額控除の見直しが示された。貿易・関税政策では、全輸入品に対して10~20%の一律関税導入、中国からの輸入品に60%以上の関税、メキシコからの自動車輸入に200%の関税を検討という強硬な包括的関税措置が提示された。エネルギー政策については、石油・天然ガスの国内掘削の大幅拡大、エネルギーコストと電気料金の1年以内での半減、パリ協定からの再度離脱方針が明らかにされた。製造業政策では、国内回帰促進として連邦所有地への低規制製造特区設置、研究開発税制控除の拡充、国内生産企業への優遇措置強化が提案されている。
まず、トランプ氏の経済政策に関する主要な発言を分析し、その政策方針を明確化する。次に、これらの政策が実行された場合の「想定内シナリオ」におけるドル円相場への影響を、金融政策、財政政策、通商政策の観点から分析する。続いて、予期せぬ事態が発生した場合の「想定外シナリオ」について、地政学的リスクや国際金融市場の急激な変動などを考慮した分析を行う。最後に、各シナリオの発生確率をAIモデルによって算出し、より現実的な予測の提示を目指す。なお、本分析ではLLMの特性を活かし、膨大な過去データと最新の市場動向を組み合わせることで、より精度の高い予測の実現を図っている。
木内登英の経済の潮流――「見えてきた歴史的な円安局面の終わり」
本レポートでは、最新のAI技術を活用し、トランプ政権下でのドル円相場の行方を分析する。具体的には、経済指標、金融政策、地政学的リスクなど、様々な要因を考慮しながら、複数のシナリオにもとづきドル円相場を予測する。そしてこの分析を通じて、今後の為替動向に対する新たな知見を得ることを試みる。
その他では、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・-1σラインと同・-2σラインの間を推移する“下降バンドウォーク”となっていること、またⅱ) BB・±2σラインが20カ月MAに対してパラレルになっていることを合わせると、今後の
【為替】2025年の米ドル/円を予想する | 吉田恒の為替デイリー
この米ドル/円の循環的高値パターンを参考にすると、米ドル/円は2028~2033年に次の高値を記録し、その高値は2024年7月の161円を上回る可能性が高いという見通しになる。要するに、円安が161円を更新するのは、早ければ4年程度後の2028年だが、最も遅い場合は2033年と、この先10年近くも後になる可能性がある。
このAIが作成した2024年度の世界の地政学、経済、政治動向に関する悲観シナリオを改めて読み込ませたうえで、「悲観シナリオにもとづき024年6月末、9月末、12月末のドル円レートを予測してください」と指示したところ、AIは、前提条件として世界的に政治的緊張が高まること、経済的不安定性が増大すること、地政学的リスクが増大することという3点を挙げたうえで、2024年6月末185円、2024年9月末210円、2024年12月末230円という予測を算出した。これらの予測値は、世界経済の先行き不透明感、日米金利差の拡大、世界的なリスク回避、日本経済の悪化、地政学的リスクの高まりといった要因が組み合わさることで円売り・ドル買いが進むという見通しが背景にある(図表 5)。
げとの組み合わせはドル円の下押し圧力となろう。ただし、11 月末のドル
*円「通貨10位(9位)、株価4位(17位)、日本が、また「失われた20年」に戻る危惧あり」
(独歩安の円の修正で世界の通貨が平準化)(除くメキシコとトルコ)
円は依然、堅調。7月の介入以降は最強。先週と今月はここまで2位。年間はまだ10位だが、首位ポンドとの差は6.25%で、介入前の首位であった南アランドなど8位までの通貨に10%以上引き離されていたことを思えば世界の通貨が平準化されている。もともと円の独歩安であり、他の通貨は介入前も後もドルとは大きく乖離していない。G7、G20でも為替は今後も議題にはならないだろう。
位置的には、日足、週足がボリバン下限に近いので短期的には一服する。月足は161円台から調整しているが、まだボリバン中位。中長期的には下げ余地がまだある。月足の下限は120円前後。
(ドル円需給)
ドル円の注文状況を見ると閑散で、まだ介入効果が続いている。ジワジワと時間をかけて影響。需給的には15兆円の輸出が出たようなものなので、円売り需要は減少している。今年はまだ貿易赤字だが金額は減少している。介入で円安効果が完全に相殺されたオルカンなどの外貨投信の買いが復活するかどうか。
(国会答弁で日銀植田総裁と鈴木財務大臣の発言)
注目の国会答弁で日銀植田総裁は、「日銀利上げ後の8月初めの株安は、米景気の減速懸念が急激に広がったことなどが要因」、「急激な円高は日銀の政策変更も背景にある」、「利上げは、物価見通しと輸入物価上昇による物価上振れリスクを考慮」と発言し、日銀の政策変更だけが市場を混乱させたわけではないとした。ただ市場の混乱は認識しているようで、「内外市場は引き続き不安定で高い緊張感を持って注視」とした。経済物価データ次第では利上げもあり得ることも示唆した。
一方、鈴木財務大臣は「デフレ脱却宣言していない。後戻りする可能性は否定できない。為替が急激に変化することは望ましくない」と発言し、大臣のインフレの認識と介入・利上げの政策との矛盾を抱かせた。
(今週も物価関連指標の発表あり)
7月消費者物価指数は前年比2.8%上昇、6月と同値であった。コアは2.7%、コアコア指数は1.9%の伸びで6月の2.2%から低下。今週は日銀の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の発表がある。現状3つの指標のうち2つが2%を割り込んでいる。エネルギー補助金の終了やコメ価格の上昇があるが一過性のものではないか。また8月東京都区部の消費者物価の発表もある。世界的に見ると落ち着いた物価動向だ。
(日本が心配)
主婦を中心として物価高を抑制する世論も多い。選挙にも影響するので政府自民党は利上げや介入で対応。ただ円高になると企業収益、株価利益、税収も減少し、景気は悪化し、賃金の上昇も望めなくなる。
世帯主の給与が減ってまでしても物価が下がるのが良いのだろうか。円安・株価上昇・最高の企業収益と税収の好循環が崩れた時、あの「失われた20年」を思い出してしまう。
*米ドル「通貨5位(3位)、株価(NYダウ)11位(11位)、ハリス氏かトランプ氏かでの基本投資方針」
(ドル安株高)
前回の予想「緩やかな景気減速でドル下落、株価上昇か」の通りとなった。
米ドルは景気減速、インフレ低下、円買い介入で7月から下落している。ドルインデックスは6下旬の106台から100台へ下落。100割れも見えてきた。
今年は7月の日銀介入あたりまでは、12通貨中で年間首位に立つことも多かったが、現在は5位、8月はここまで10位と弱い。10年国債利回りは4%台から3%後半へ低下、株価は底堅くなってきた
ただ米株価は日本と異なり、為替や金利とはそう関係なく上昇している。
(次は0.25%か0.5%か)
日銀と異なり、FRBは議長、副議長、理事、地区連銀総裁で意見が異なることが多い。ただ前回も触れたが、2週間前からは、ほぼ全員が9月の利下げを示唆し始めていた。ジャクソンホールでのパウエル議長の「政策を調整する時が来た。インフレ率が2%への軌道にあるとの確信強めた」との発言も違和感はなかった。ただ、それで材料出尽くしとならなかったのは、今後の焦点が9月の0.25%から0.5%の利下げで迷う所となったからだ。9月FOMCまで、いつも通り、雇用統計と消費者物価の発表がある。そのデータ次第だが、それで予想利下げ幅が0.25%か0.5%なるかで、ドル下げの度合いが異なってくるだろう。
(今週の焦点)
今週の焦点は、7月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、2Q・GDP改定値、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者態度指数・確報値が焦点となる。
(ハリス氏かトランプ氏かでの投資プラン)
大統領選挙戦が白熱してきた。どちらが勝っても、議会の多数派が民主党か共和党かも焦点。財政赤字の天井問題で、野党に反対されれば、経済まで行き詰ることとなる。ハリス氏が大統領となれば内外共に政治経済は大きく変わらないが、トランプ氏となると、内外の政治経済の枠組みが大きく変わってしまう。ただ大きな変革となる。大きな変革となれば時間がかかる。おそらく4年では時間が短い。政策・公約を成就できずに終わってしまい、また元の体制に戻るのではないか。トランプ政権で波乱があっても、その波乱で歪んで動いたものに投資し、次世代で刈り取りたい。
(GDPナウ、CPIナウ)
現在、3Q・GDPナウは2.0%、8月CPIナウは2.59%。利下げへ向える数字だ。
*ユーロ「通貨3位(4位)、株価6位(9位)DAX)、ECB関係者は9月利下げを示唆」
(ミニトリプル高の欧州市場)
12通貨中3位へ上昇。強い材料はないが、ドルの下落で上昇。株価では独DAXが先週1.7%上昇で年初来11.23%高、極右進出で揺れたフランスCACもプラス圏へ(年初来0.45%高)。欧州各国国債(10年)も今月は利回り低下、独10年国債は月初の2.3%から2.23%へ低下。
(先週の指標、力強さはない。サービス業は改善)
ユーロ圏8月総合PMIは51.2で7月の50.2から上昇。予想の50.1を上回った。サービス業が製造業の不振をカバーした。 サービス部門PMIは53.3で前月の51.9から上昇。製造業PMIは45.8から45.6に低下。
8月のユーロ圏消費者信頼感指数はマイナス13.4と、前月のマイナス13.0から0.4悪化した。
(今週はユーロ圏消費物価の発表)
今週は8月ユーロ圏消費物価の発表がある。予想は2.3%の上昇で7月の2.6%から低下。独の8月IFO企業景況感指数も発表される
(ECB関係者は9月利下げを示唆)
パネッタECB専務理事は9月の理事会で利下げを決定することを望むと述べた。「インフレが鈍化し、世界経済は減速しているため、今後は金融緩和の段階に入ると予想するのは妥当だと考えている」と述べた。レーン・フィンランド中銀総裁は、欧州の成長見通しに対するリスクが高まっていることから、9月会合での利下げの根拠は強まったとの考えを示した。
カザークス・ラトビア中銀総裁は、9月の会合で追加利下げを議論する用意があると発言。インフレ率の2%回帰に自信を示す一方で、景気を巡る懸念を表明した。
*ポンド「通貨首位(2位)、株価12位(10位)、年間首位奪回、ベイリー英中銀総裁=追加利下げを急ぐつもりはない」
(ポンドが年間首位奪回)
南アランドから年間首位の座を奪回。ただ対円では先週は下落した。FT株価指数は年初来7.69%高、10年国債は月初の3.96%から3.92%へ低下。
(総合)
8月の総合PMIは53.4と、4月以来の高水準となった。7月は52.8、予想は52.9。8月は成長率の上昇、雇用創出の改善、インフレ率の低下という歓迎すべき組み合わせが見られた。
(ベイリー英中銀総裁@ジャクソンホール会議)
ベイリー英中銀総裁は、長期的な物価圧力は緩和しつつあるとしながらも、インフレが抑制されたと確信するにはまだ早いため、追加利下げを急ぐつもりはないと述べた。
ベイリー総裁は、今後は慎重に動くとし、「インフレが低水準にとどまることを確認し、早すぎたり幅が大きすぎる引き下げにならないよう注意する必要がある」と述べた。
「根強いインフレを抑制するための経済的コストは、過去の事例と比べて小さくなっている可能性がある」とし、経済のソフトランディングのシナリオに沿ったディスインフレのプロセスに整合しているとの考えを示した。 同時に、インフレ期待が一段と安定していると「慎重ながらも楽観視」しているとしながらも、金融政策は「十分な期間にわたり制約的でなければならない」と述べた。
*豪ドル「通貨6位(6位)、株価15位(15位)、7月消費者物価は低下予想」
(RBAが利下げを検討するのは時期尚早と繰り返すも、豪ドルは、それほど強くなく6位)
RBAが利下げを検討するのは時期尚早と繰り返すも、豪ドルは、それほど強くなく6位。豪全株指数は年初来5.36%高、10年国債は3.89%でドルと米国債と近い。
(利下げの可能性は低い=RBAは議事要旨)
RBAは議事要旨で、短期的に利下げの可能性は低いとの見解で一致したことを明らかにした。 インフレを確実に抑制するには制約的な政策を「長期間」維持することが必要になる可能性に言及した。利上げの是非についても議論した。理事会メンバーは「市場が現在示唆するよりも長期間、政策金利を現行水準で維持することがインフレ率を妥当な時間枠で目標に戻すのに十分かもしれないが、今後の会合でこの可能性を再評価する必要がある」と判断した。
(7月消費者物価に注目)
7月消費者物価の発表がある。予想は3.4%で6月の3.8%から低下する。ただゴールドマン・サックスは、前月比で0.7%低下、前年比では2.7%と予想している。コアインフレに強固な粘着性が見られるものの、政府の生活費軽減策で消費者物価が大幅に押し下げられるためだ。
(4大銀行のうち3行が定期預金金利を引き下げた)
4大銀行のうち3行が定期預金金利を引き下げた。RBAは利下げを検討するのは時期尚早としているが、民間銀行はRBAが12月までに金利引き下げに踏み切る可能性があると注目を集めている。
*NZドル「通貨8位(9位)、株価13位(10位)、8月最強、AA+の信用格付け確認」
(NZドルは今月最強)
今月のNZは強い。先週と8月ここまでは最強だ。同期間で円より唯一強い通貨。ただ年間では8位。NZ50株価指数は年初来6.45%高、10年国債利回りは4.22%。
(AA+の信用格付け維持を確認)
フィッチは、財政黒字化への遅れにもかかわらずAA+の信用格付けを維持を確認し、見通しは安定的とした。これは政府の財政計画との強固な経済基盤に対する信任とみられる。
➢ 円は日米金融政策の方向差から 7-9 月期に強含む場面がみられるも、総じて弱かった
すでに述べたように、トランプ政権1期目においては、正式に政権がスタートする前、「トランプ・ラリー」で記録した118円が結果的に高値となった。これは5年MAを13%程度上回るものだった。一方で、今回の大統領選挙でのトランプ氏勝利後の米ドル/円の高値は、これまでのところ156円で、5年MAを20%程度と大きく上回っていた(図表4参照)。
「ドル円相場」予測のカギになる16.5年ルール 大局的な視点で見た場合
トランプ政権1期目で米ドル高・円安とならなかったのは、政権開始後はしばらく米金利低下局面が続いたこと、そしてその後、大型減税の議会成立を受けて米金利が上昇すると、今度はそれに耐えられず株価が急落と、トランプ氏の経済政策は必ずしも米金利や米国株を通じて米ドル高をもたらすことにならなかったためだ。
ドル円相場、下半期大荒れ 1%超の騰落続出 2025年の見通しは?
2017~2020年のトランプ政権1期目では、基本的な経済政策は今回と変わらなかったものの、米ドル高・円安とはならなかった。トランプ氏が2016年11月の大統領選挙で勝利すると米ドル/円は急騰し、「トランプ・ラリー」と呼ばれたが、ここで記録した118円という高値は、結局その後のトランプ政権の4年間で更新することはなかった(図表3参照)。では、それはなぜだったのか。
外国為替市況(日次) : 日本銀行 Bank of Japan
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