トランプ円安が突き進む ~1 ドル160 円を目指す展開~ | 熊野 英生
円安進行が目立ってきている。トランプ当選で地殻変動が起きている。財政悪化の観測が、米長期金利を押し上げている。FRBの利下げについても、2025年にかけては進めにくいと予想される。日米金利差の拡大は、ドル高・円安要因である。今後、これに対抗しようとする日本の通貨当局の口先介入と、日銀の追加利上げはどうなるだろうか。
第2次トランプ貿易戦争、4つの観点からドル/円を考える=高島修氏
当面、ドルはトランプラリー継続から堅調な動きを見せると見られるが、ここからのドル買い円売りの選択はかなりのリスクを伴う。
ドル円レートは、1ドル156円台までドル高が進んだ(図表1)。11月5日の選挙でトランプ氏が次期大統領に決まり、ここにきて上下院ともに共和党が過半数を占めることが確実になったからだ。下院でねじれがあれば、法案修正の圧力がかかるが、トリプルレッドが確実になったので、そうした圧力を受けずにトランプ政策が通りやすくなった。それは間接的に財政赤字要因になるので、米長期金利が上昇した。これはドル高要因だ。
円相場 1ドル=154円台まで円安進む “トランプ氏当選確実”で | NHK
ただ、投資対象として考えた場合、ここからのドル買い円売りはかなりリスクが高い。輸入物価への影響などもあり、財務省など日本の通貨当局は為替介入などで円安を抑えにかかるだろう。トランプ次期大統領が米製造業のためにドル安を志向しており、介入が入りやすくなっているという見方もある。
この政治的転換を受けて、為替市場は早くも反応を示している。東京外国為替市場では、トランプ氏の勝利を受けて急激な円安ドル高が進行し、11月6日には1ドル151円台から一時154円台前半まで上昇、約3カ月ぶりの円安水準を記録した。新たなトランプ政権に市場は敏感に反応している。
【NHK】アメリカ大統領選挙でトランプ前大統領の当選が確実になったと伝えられたことを受けて、外国為替市場では円相場が一時、1ドル=…
ドル円はトランプ氏優勢が報じられた9月終盤からドル高円安が進んだが、選挙戦直前になってハリス氏の巻き返しが報じられたことでいったん調整売りが入った。結局トランプ氏が圧勝したことで再びドル高円安となっている。トランプ氏は前回以上に対外強硬姿勢を強めており、高関税の実施などの可能性が強まる中で、ドル高円安がもう一段続く可能性が高い。
トランプ大統領の就任に伴い、経済、金融、外交といった様々な分野で大きな政策転換が予想される。前回のトランプ政権時には、保護主義的な通商政策やトランプ流外交により、為替市場が大きく揺さぶられた。再び同様の政策が採用された場合、現在の為替相場にどのような影響を及ぼすのか。
トランプ氏、今度はBRICSに「脱ドル推進なら100%関税」宣言
この結果を受けて金融市場ではトランプラリーと呼ばれるドル高米株高が進んでいる。トランプ氏が掲げる減税・規制緩和・高関税などの施策が現実化すると、米国内での物価上昇が見込まれ、利下げペースの鈍化などを招いてドル高になるという見方である。2016年の米大統領選でトランプ氏が勝利した際、1カ月ほどで17円超のドル高円安となるなどドル高が進んだこともトランプラリーを支えている。
11月5日に投開票された米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利した。「米国第一」を掲げるトランプ氏の復権は、米国経済はもちろんのこと、日本経済や日本企業にも大きな影響を与える。トランプ政権の2期目の幕開けで、経済や株・為替市場はどう動くのか。激変する世界の行方を徹底検証する。
トランプ氏勝利で株急伸 一時1400ドル高、円は急落―米大統領選
11月5日に投開票された米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利した。「米国第一」を掲げるトランプ氏の復権は、米国経済はもちろんのこと、日本経済や日本企業にも大きな影響を与える。トランプ政権の2期目の幕開けで、経済や株・為替市場はどう動くのか。激変する世界の行方を徹底検証する。
「脱ドル体制なら関税100%」 トランプ氏、BRICSをけん制
今回は劇的なドル安にはならないとウォール街では予想されているが、ドルは25年前半にピークを迎える可能性があると、デレク・ハルペニー氏ら三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のアナリストは予想している。
NYダウ、初の4万5千ドル トランプ政権期待、リスク織り込みは?
トランプ氏の2025年から2029年の大統領任期におけるドル円相場の予測について、以下の分析フレームワークで検討を行う。本分析では、大規模言語モデル(LLM)を活用し、トランプ氏の過去の発言や政策、現在の経済状況、そして将来の不確実性を考慮した包括的な予測を試みる。
共和党のトランプ氏の勝利により、FRBによる利下げの可能性が減少する可能性が高いことから、為替市場はドル高の流れが続くとの見方が出ている。
トランプ次期政権下のドル相場の動向を考える場合、過去の値動きが参考になる。8年前のトランプ氏初当選直後に急上昇した後、17年には、米経済の勢いが失われる一方で欧州の成長が加速したため、ブルームバーグ・ドル指数は年間で過去最大の下落を記録した。
【土田陽介のユーラシアモニター】共和党トランプ主義者が議論する、ドル離れを図る新興国に対する制裁
長短金利をみてみると、11月の利下げ後のFFレートの誘導目標は、4.5~4.75%である。長期金利は4.4%台まで上がっていて、これはほぼ同水準だ。ここには短期金利の見通しの変化が背景にあるのだろう。今後は、短期金利があまり下がっていかないだろうという予想なのだ。従来の短期金利>長期金利の図式、つまり長短金利の逆転が続いてきた。しかし、それは解消する手前までやってきている(図表2)。FRBは、9月時点で2025年中▲1.00%ポイントの追加利下げを予告しているが、長期金利はその利下げをあまりカウントしていない水準で推移している。これは、潜在的なインフレ圧力を見込んでいるということだ。そして、FRBがどこかで利下げを休止して、いずれ利上げ方向に転じてもおかしくはないことを見込んでいるのだろう。米金利のイールドカーブは、1~3年にかけて4.2~4.3%程度になっている。
ドル円相場11/25週振り返り トランプ次期政権の関税政策受け円高へ
米商品先物取引委員会(CFTC)の12月10日終了週の統計を基にブルームバーグが集計したデータによると、投機筋は依然として240億ドル(約3兆6900億円)規模のドルのロングポジションを維持しており、これは5月以来の高水準付近だ。投機筋は選挙を控えた10月半ばから強気姿勢を維持している。
トランプ・ショックで為替相場がドル高・円安に進んだ理由 | 高島修
まず、トランプ氏の経済政策に関する主要な発言を分析し、その政策方針を明確化する。次に、これらの政策が実行された場合の「想定内シナリオ」におけるドル円相場への影響を、金融政策、財政政策、通商政策の観点から分析する。続いて、予期せぬ事態が発生した場合の「想定外シナリオ」について、地政学的リスクや国際金融市場の急激な変動などを考慮した分析を行う。最後に、各シナリオの発生確率をAIモデルによって算出し、より現実的な予測の提示を目指す。なお、本分析ではLLMの特性を活かし、膨大な過去データと最新の市場動向を組み合わせることで、より精度の高い予測の実現を図っている。
豪ドル、一時急落 99円割れ目前 トランプ関税で経済見通し懸念
ただ、ドル強気派の多くはトランプ氏の貿易に関する見解が本質的にドルを支えるとの見方からロングポジションを積み上げてきただけに、トランプ政権2期目に貿易戦争の可能性が解消すれば強気派の失望を招くと、ダニエル・トボン氏率いるシティグループのストラテジストらは予想する。
豪ドル円相場で一時、99円割れ寸前まで豪ドル安が進んだ。トランプ氏の対中関税をめぐる言及が材料視されたが、見通しでは底堅さも示されそうだ。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「ドルが引き続き支配的である状況には幾つかの理由がある。ドルは世界で最も流動性の高い通貨であり、自由に取引され、世界の貸し出し通貨でもある」と指摘。その上で、「トランプ氏がBRICS諸国に対する圧力を強めれば、ドル離れが加速する可能性もある」と付け加えた。
【円安】一時1ドル=161円75銭 トランプ氏勝利の場合に ..
筆者が少し不思議に思うのは、米株価が大きくは下がらないことだ。株価はこれまでFRBの利下げ予想を織り込んで上がってきた。ならば、トランプ当選で金融緩和期待は剥落しているのに、なぜ株価は大幅に下がらないのか。これも、ドル高と同じく、潜在的なトランプ・トレードの押し上げ圧力が見た目以上に強いことを示唆している。
トランプ政権下、4年間のドル円相場とバイデン政権ではどうなる?
最近のドル高傾向は、ドル以外の通貨の軟化につながっている。米大統領選の後、ユーロは11月に対ドルで2年ぶりの安値を付け、ほぼパリティー(等価)となった。MSCIの新興国通貨指数は現在、4カ月ぶりの安値圏にあり、中国が来年、人民元の1ドル=7.50元への下落を容認する可能性があるとも報じられている。そうなれば元は07年以来の安値水準となる。
ドル円見通し 第一次トランプ政権における円高の教訓(24/12/25)
今後の円安進行で気になるのは、日本の通貨当局が為替介入に打って出るかという論点だ。2024年4月29日・5月1日には介入を実施している。為替相場が連休前に1ドル153~155円で膠着していたところから、一気に156~157円に円安が進んだところで、頭を押さえるように9.8兆円の為替介入が行われた。このときは随分と投機色が強かった。現在は、シカゴのIMM通貨ポジションは、以前よりも円売り方向になってきたが、4・5月ほどは投機筋の円売りポジションが膨らんでいない。だから、今のところ実勢を反映した円安に見えるが、円安の勢いが強いと介入の可能性は高まっていく。
ドル円は、157円割れを買われつつ25日未明に157.37円まで高値を若干切り上げて確りしている。
国際決済銀行(BIS)が2022年に発表した3年に1回の調査結果によると、1日当たり7兆5000億ドル(約1100兆円)の外国為替市場取引におけるドルのシェアは約88%。
トヨタ トランプ氏就任式に100万ドル寄付 GMやフォード ..
まず、「トランプ氏の経済政策についての発言をまとめてください」とAIに指示したところ、税制政策では法人税改革として国内生産企業の法人税率を21%から15%に引き下げ、2017年の減税措置の恒久化、チップ収入や社会保障給付への課税廃止が提案された(図表1)。個人向け減税としては、所得税の最高税率引き下げの継続、残業代への課税廃止、州・地方税の税額控除の見直しが示された。貿易・関税政策では、全輸入品に対して10~20%の一律関税導入、中国からの輸入品に60%以上の関税、メキシコからの自動車輸入に200%の関税を検討という強硬な包括的関税措置が提示された。エネルギー政策については、石油・天然ガスの国内掘削の大幅拡大、エネルギーコストと電気料金の1年以内での半減、パリ協定からの再度離脱方針が明らかにされた。製造業政策では、国内回帰促進として連邦所有地への低規制製造特区設置、研究開発税制控除の拡充、国内生産企業への優遇措置強化が提案されている。